akshota0407の日記

自分自身が書きたいことや伝えたいことを書くブログです。

未来からの留学生派遣制度

今回は「ある大学で2022年に出題された入試問題(小論文)」をまずご覧ください。

以下の記述は出題上の架空の設定です。大学および学部による実際の取り組みとなるとは限りません。環境情報学部では2022年度より「未来からの留学生派遣制度」の導入を検討しています。「未来からの留学生派遣制度」では2022年度入学生の一部を2年前の2020年4月入学生として過去の時空間に派遣し2年間を過ごしていただきます。対象者は2022年4月1日時点の記憶を持った状態で2020年4月1日に向かいます。そこで皆さんが経験する出来事は皆さんの働きかけによって変化しうる(皆さんが知っている歴史を変えることができる)ものとします。なお過去に持ち物を持っていくことはできません。また、この2年間の間にさらに過去や未来に移動することはできません。
 環境情報学部ではこのような特別な機会を最大限有意義に活用し、よりよい世界を実現する意欲と力のある人に入学してもらいたいと考えています。特に他の人と異なる視点や創造的なアイデアなどを高く評価します。

問1  入学後この「未来からの留学生派遣制度」にあなたが参加し2020年4月にいくことができた場合に、この機会を活かして解決したい、あるいは解決できると考える問題について、分かりやすく印象的な名称を考え解答欄に記述してください。

問2  問1で記述した問題の解決について、過去に移動できる「未来からの留学生派遣制度」という特別な機会を通じて取り組むことの意義を200文字以内で解答欄に記述してください。

問3  問1で記述した問題を解決する方法の具体的なアイデアを解答欄の枠内に記述してください。必要に応じて図や絵を用いてもかまいません。柔軟な発想や奇抜なアイデアを歓迎します。

問4 その問題解決の実現に向け2年間にどのような活動を行うのか具体的な手段を解答欄に記述してください。解答欄の左端に時系列を示す直線が用意されていますので利用してください。図や絵を使用してもかまいません。創造性豊かな構想を期待しています。

ご覧いただいた問題は、2022年 慶應義塾大学環境科学部の小論文で出題された問題です。この問題を見たときに、どのように感じたでしょうか。ぶっ飛んでいる問題と感じたり、これは大学入試として適切なのかと思う人もいるかもしれません。もし、このように考えたのであれば、入試ではどれだけ「知識」をもっているのかで、合否判定をするべきと考える傾向が強い人なのかもしれません。確かに、入試というものは、努力が報われるべきものではあり、努力の比例として測りやすい形が「知識量」では間違えないでしょう。一方で、社会に出れば「知識」だけではなく、「課題解決能力」や「論理的に自分の考えを述べる力」が求められていることを考慮に入れれば、このような小論文の出題もある程度は納得できるのかもしれません。もちろん今回の紹介した問題は、かなり特殊な問題を紹介しているのは事実ですが、大学入試改革により「知識・技能」だけでなく、「思考・判断・表現力」を強化していく入試に変わっていきます。そんな中で、このような傾向は強まり、大学入試も大きく変わっていくのか、今後の動向には注目していく必要があるでしょう。

大学入試改革と数学論理

今回は、前回に引き続き「入試突破のスーパートライアングル」を題材に、「大学入試改革」と「数学的な論理と日常的な論理」について書いていきたいと思います。

前回のブログでも紹介をしているが、現代文のテキストでは「複数テキスト」が採用されていたりと大学入試改革を意識した教材で授業が進められている。また、共通テストの英語・現代文では「複数テキスト」で出題されており、大学入試改革の大きな変更点の1つとも言えるだろう。一方で、日常生活に置き換えて見れば、「複数テキスト」という考え方は一般的であり、私たちが何かを調べるときに、1冊だけの本や資料を読むことはない。このように考えていけば、実生活と関連付けられており、重要なのではないかと問題提起をしていました。

現代文・霜先生の授業後には、数学・雲幸一郎先生の授業が続いて行われました。ここでは、身の回りの数学を題材に、入試問題や数学的な論理を捉えるような講義でした。例えば、指数関数と確率、辞書式順列、「感度と特異度」に関する問題を題材にテキストは構成されており、2022年に実際に出題された問題を用いて解説をされました。また、PCR検査の「感度と特異度」に関する問題では、実際にPCR検査の感度(病気にかかっている人の中で陽性と判断される割合)が70%で、特異度(病気にかかっていない人の中で陰性と判断される割合)が99%であることから、PCR検査は感度が低いため陰性証明は出来ないことが導かれました。さらに、テレビのニュースなどの報道では「陽性者数」と「感染者数」という言葉を混ぜており、私たちも一見同じものと考えてしまっていますが、実際には「陽性者数」は、PCR検査で「陽性」となった人数であるため、知ることが出来ます。一方で「感染者数」は定義が曖昧であるため、正確に把握することは出来ません。このように、数学を正しく学ぶことで、世の中を論理的に考えることを可能にするのかもしれません。

しかし、数学は論理的に考える必要がありますが、実生活と異なる部分も雲先生は伝えてくれました。例えば、運転免許の試験でこのような正誤問題が出たときに、あなたはどのように答えるでしょうか。

問1「原動機付き自転車は公道で50km/h以上で走ってはいけない」

問2「夜の道は危険なので、気をつけて運転しなければいけない」

それでは解説をしていきましょう。運転免許試験の勉強をしていない人ならば、問1と問2の両方とも「〇」と答えるのではないでしょうか。確かに論理的には正しいですが、どちらとも「×」が正解となります。その理由は、問1は「50km/hではなく30km/h」、問2は「夜の道ではなく常に」が正解となるからです。この設問を論理的に捉えてしまうと間違えとみなされることもあるのです。つまり、出題者の意図を汲み取ることが必要とされているのです。これを理不尽と捉えることも出来ますが、社会に出れば他者とコミュニケーションを取ったり、論理的に正しいことが必ずしも正解にならないことはたくさんあったり、論理的には説明できない人間の感情が起因することも多くあるでしょう。このように考えると、論理的に正しいことが、必ずしも正解にならないことはあるのではないでしょうか。

最後に英語科講師の大島先生からは、「フランスのバカロレア試験」を題材に、世界の教育についての在り方について説明されました。この試験は、日本の共通テストと同等の位置づけであるが、記述式の試験で「あなたの考え」や「内容一致問題では、引用して根拠を裏付ける問題」や「テキスト会話の続きを作らせる問題」が出題されている。このように見ていくと、どのように公平に採点をするのかという疑問をもつ方も多くいるでしょう。フランスでは、出身高校の先生が採点をする。日本の感覚とすれば、公平に保つことが出来るのかと不思議に思うかもしれないが、フランスではこのような方式を取っている。ここからも分かるように、平等性に対する、価値観は国によって異なることも分かるだろう。話は少し脱線をしてしまったが、フランスと日本の入試を比較すれば、同じ勉強でもゴール地点が圧倒的に異なることは分かるだろう。そんな中で日本が世界と戦っていくためには、教育改革が必要になってくるだろう。現在の高校1年生から学習指導要領が全面改訂され、少しずつ日本の教育も変わろうとしている。果たして、日本の教育が世界レベルまで到達することは出来るのか、今後に期待したいと思います。

そして、講演の最後では大島先生・雲先生・霜先生からメッセージがあり、「囚われないこと」の重要性を伝えてくれました。例えば、雲先生は数学の問題でも、準備は必要であるが過去にやった問題に囚われないことが大切であり、囚われすぎると過去の問題に類似を考えてしまったり、自由に思考することが出来なくなり失敗をしてしまう。さらに、囚われていると、新しい思考に結び付かず、挑戦することが出来なくなる。これは、大学受験だけでなく、よりよく生きていくためにも、広い視野をもつことで、新たな発見が生まれでしょう。最後には、受験勉強でも社会に出てからも、何ごとにも失敗を恐れずに挑戦をする姿勢が大切であり、失敗から学ぶことが大きいことを伝えてくれました。このような話を聞いて、私は「思い込み」や「自分の世界」で無意識に生きている可能性があると考えるようになりました。例えば、インターネットは自分の知りたい情報を取捨選択して見ることが出来ますし、SNSのフォローはまさに自分が欲しい情報だけが得られている仕組みになっている。そうなれば、意識をしなければ「自分の世界」から抜け出すことは出来ないのかもしれません。このように考えると、広い視野をもって、新しいことを始めて挑戦することは、今まで以上に必要となっているかもしれませんね。

【関連リンク】

「利他」について考えてみる! - akshota0407の日記 (hatenablog.jp)

入試突破のスーパー・トライアングル - akshota0407の日記 (hatenablog.jp)

「利他」について考えてみる!

先日のことではあるが、駿台の夏期講習「入試突破のスーパー・トライアングル」を受講するために、お茶の水校に行きました。この授業は、駿台トップ講師の大島保彦先生(英語科)、雲幸一郎先生(数学科)、霜栄先生(現代文科)の3名がそれぞれの分野について授業を行いながら、それぞれの教科に対する共通項や違いを見出しながら、教科横断的な視点をもちながら、授業を進めていく講座である。なので、この講座は入試で点数を取るための講座というよりは、教養を深めることが目的の講座であり、予備校としては異色な講座である。今回は、この講座の現代文テーマであった「利他」について考察します。

今回も現代文の霜先生パートから授業が始まり、テーマは「利他」に関する複数テキストを題材としたオリジナル問題であった。このことを通して、私が「利他」について考えたことをいくつか具体的に紹介すると、新型コロナウイルスの影響により、他者との関係が希薄になることで、他者を深く考えるようになり、孤独を感じることもあったでしょう。その一方で、不要な関係性を切ることにも成功をしたかもしれません。例えば、近所付き合いや会社の飲み会などは無くなり、プライベートをより強いものにした背景にもなるかもしれません。その結果、「個」が強くなっていき、「集団」における存在を忘れがちになり、自分さえ良ければよいという発想は強くなっていくのではないでしょうか。ここからは、広い視点で「個」を考えてみることにしましょう。世界から見て、日本という集団を1つの「個」と見たときに、日本さえ良ければよいのでしょうか。このような考え方で巻き起こったのが、「新型コロナウイルスのワクチンの取り合い」に発展したいったのです。このように考えると、「個」が強くなっていっている社会だからこそ、「利他」を考える重要性が高まっていると言えるのかもしれません。

他にも「利他」を考える上で重要な視点のもう1つが「労働」という観点です。現在は機械化されたり、AIやロボットなどが活躍しており、人間の力を必要としない自動化する社会がますます増えていく中で、私たちが「労働」することの意味付けも今後は重要になってくるでしょう。そんな中で、人間にしか出来ないことには「感情」が大きく関わっていると思います。例えば、カフェで店員さんがコーヒーを出してくれるときに、笑顔で渡してくれれば、元気をもらえたりする経験があると思います。一方で、ロボットが笑顔でコーヒーを渡してくれても、同じようには感じないのではないでしょうか。このように、感情を与えたり受け取ったりすることが出来るのが、人間が働く意味合いにつながってくるのではないかと思います。もちろん、プラスの側面もある一方で「感情」はマイナスに働くこともあるので注意をする必要もあります。それだけでなく、「感情」は他者と比較することで生まれ、「好き」や「嫌い」などの感情も生まれていきます。以上のことをまとめると、労働という観点でも「利他」は重要であり、「ホスピタリティー」は人間にしか出来ない特有なことであると言えるでしょう。

このように「利他」に関して見ていくことで分かったことも多いと思いますが、現代文という学問的なアプローチだけでなく、私たちの考え方や今後の人生観にも影響をするテーマであるのかもしれませんね。(「利他」に関する内容でかなりの字数を使ってしまったので、他教科の概要については、後日続編で掲載を行います)

【関連ブログ】

入試突破のスーパー・トライアングル - akshota0407の日記 (hatenablog.jp)