akshota0407の日記

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『カリスマ講師だけに頼らず、アプリ授業で地方開拓』

教育業界に働いている私は、業界の情報収集をするために週に1回の頻度ではあるが、日本経済新聞ホームページにある「教育業界」のニュースを見るようにしている。そんな中で、「駿台、カリスマ講師だけに頼らず、アプリ授業を地方開拓」という記事を見つけた。この記事では、駿河台予備校(駿台)に取材をして得られた記事であり、現在の予備校業界がどのような実態であり、どのように今後を展開しているのかを具体的に述べられている記事としては貴重なのではないでしょうか。今回は、この記事の内容を題材として、今後の塾・予備校業界について、考えてみたいと思います。

記事にも書かれておりますが、少子化の影響や浪人生の減少が教育業界に大きな打撃となっている。さらに、大学入試改革による総合型選抜や推薦入試、個別指導、インターネットの普及による映像授業、武田塾のように勉強の管理をしてくれる塾、このように顧客のニーズが分散化していることも大きな要因とも考えられる。その結果、大手予備校でも生徒数を確保することに苦戦を強いられているのではないだろうか。

そんな状況の中で、大手予備校が塾や中堅予備校に勝てる最大の武器は「指導力のあるカリスマ講師」が授業をしていることではないかと思う。業界トップクラスの講師は、授業が分かりやすいだけでなく、勉強に対するモチベーションを上げてくれる講師も多くいるだろう。そのような環境を与えてくれるのが、大手予備校の強みではないだろうか。しかし、この記事にも書かれているが、カリスマ講師だけで生き残りをかけることが難しくなっている。その理由には、顧客のニーズには「個」にニーズを求める顧客が増えており、実際に個別指導の需要が高まっているのも現状である。そんな中で、集団授業を前提としている予備校でも、カリスマ講師が授業をするだけではなく、「個」に焦点を当てるための授業が問われている。つまり、従来の予備校で求められていたことと異なっており、時の移り変わりに順応しなければ、生き残っていくことが難しくなっているだろう。

この記事では、「個」に焦点を当てるために駿台が行っている取り組みが記載されており、高卒生コースの授業の一部では、授業中に生徒がタブレットに解答を記入して、講師は生徒の回答状況などを手元のタブレットで確認をして、進捗が遅れている生徒には声をかけながら、授業を進めている。このときに使用しているのが、駿台が独自に開発したIT教材「SLME(スルメ)」であり、利用者の習熟度に合わせてヒントを提示し、問題の解き方を習得できるよう作られており、集団授業でありながら、個に焦点が当てられるような授業に役立てている。さらに、面談などを担当する「担任」の役割にも変化が出ており、「勉強を教えるだけではなく、モチベーションの維持・向上をするのも予備校の役目だ」と山畔専務理事は述べている。2020年にはコーチング研修を導入しており、担任の質を底上げすることにも注力をしている。このように、求められるニーズに対応が出来るような取り組みを駿台は行っている。

他にも、さまざまなニーズに対応をするために、21年春から完全オンラインの講座も始めた。オンラインでのリアルタイム講義とAI教材、担任による指導などを組み合わせた講座で、これまで取り込めていなかった地方の生徒が、「実際に校舎に通っているのとほぼ同じサービスが受けられる」と駿台の山畔清明専務理事は伝えている駿台のオンライン授業の特徴は、リアルタイムにこだわったことで、他社のスタディサプリや学研プライムゼミと差別化をしたのが特徴的でした。このように、新たな顧客を獲得することにも力を入れていました。

このように顧客を拡大化しており、現在駿台は、『これまでの予備校とは全く異なるものになっており、逆にそうしなければ生徒を集めることは難しくなると感じている』と山畔清明専務理事は述べている。その一方で、『オンライン講座が定着したとしても、校舎が大事だということに変わりはない。需要は多様化しているので、校舎に通いたいというニーズはなくならないだろう。自分である程度学習が進められる生徒はリモートでも困らないが、自主的に勉強するのが難しい人ほど対面での学習効果が高い。オンライン講座を受講してもらう場合でも、夏休みの時期は対面の講習会を推奨するなどの取り組みもしていきたい』と山畔清明専務理事は述べている。このことは、カリスマ講師、AI教材、オンライン授業などさまざまな材料を使いながら、どれかに固執するわけではなく、それぞれのメリットを活かしながら、生き残っていく姿勢を感じとることが出来るでしょう。

実際に大手予備校は、従来通りのまま変化をしなければ残り続けることは難しいと思いますが、予備校だからこそ提供できるものは数多く存在します。私の考える予備校の強みは「講師」や「テキスト」の質という面で、どこにも勝つことが出来ないのはないでしょうか。しかし、ここ数年で駿台河合塾のパンフレットから、講師紹介が無くなっていたり、予備校の強みが打ち消されている状態があります。予備校が生き残っていくためには、強みと弱みを把握して、強みは伸ばし、弱みは強化をしていくことが必要になる時代に変わるでしょう。

【参考文献】

駿台、カリスマ講師だけに頼らず アプリ授業で地方開拓  :日本経済新聞 (nikkei.com)

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