今回は学習参考書をテーマにブログを書いてみたいと思います。私も含めて、塾・予備校で働く人にとって、学習参考書はライバルと位置付けられ、脅威とみなしている方は多くいるでしょう。実際に参考書ですべて学習が完結をしてしまえば、塾・予備校の存在意義が薄まり、業界全体として縮小を辿ることになります。そんな進化する学習参考書業界を考察しながら、大学受験における塾・予備校の存在意義を考えてみたいと思います。
話は脱線をしますが、今回このようなブログをテーマに書こうと考えたきっかけは、私が受験生だった10年ぐらい前よりも参考書の質や出版されている参考書も増え、参考書だけでも、個のニーズに対応が出来るようになってきていると感じたからです。塾・予備校業界の社員がこのようなことを言ってはいけませんが、例えば教材という面では、塾専用の教材よりも自学自習が出来ることを目的としているため、内容やレイアウトが分かりやすく理解しやすい内容になっていたりします。また、実況中継のような音声講義の参考書は今までありましたが、学研のムビスタシリーズでは「動画とセットになった参考書」も出版されており(参考文献:ムビスタシリーズ特設サイト)、10年前の環境と大きく変わっています。このように考えると、トップレベルの講師の授業が、大手予備校に行かなくても、参考書を使って受講ができる時代になり、塾・予備校が生き残っていくための差別化が必要となってきているのでしょう。さらに、塾・予備校のテキストは意外と古い教材をそのまま流用しているケースも多くありますが、これだけ学習参考書が売れれば、新刊や改訂をすることで、最近のトレンドに合わせた内容に対応した参考書を出版することが可能になります。あまり大きな声では言えませんが、英語などの主要科目は学習参考書の方が最新のトレンドを考慮に入れているように感じます。
さて、これだけ学習参考書が出版されると、何から始めればよいのかという問いが今まで以上に生まれやすくなります。そこで、武田塾が考案した参考書ルートなどの基準となるものが必要となり、個別に進捗管理をしてくれる存在が必要となっていくことで管理型の塾や個の質問に対応が出来る塾のニーズが高まることにつながっているでしょう。また、このような個に焦点を当てた教育は、塾・予備校業界にも求められつつあり、集団授業を主軸とした塾であっても、保護者からの個の要求は増えており、少子化という社会的状況からも顧客単価を上げることが会社から求められているのです。
このような社会の変化に直面をしている中で、塾・予備校業界はどのようにして生き残っていくかは考えていく必要があり、もはや塾・予備校同士の対決ではなく、学習参考書とも戦わないといけない時代になり、競争は激化しています。塾・予備校業界では、3月から4月にかけては募集期で問い合わせが多い時期ですが、生徒や保護者に塾・予備校に通う魅力や強みを伝えることがより求められているのでしょう。