今回は大手予備校の河合塾が2026年4月から常勤講師職(英語・数学)の募集を行っている。今までの予備校は、進路指導や入塾相談を行う教務と授業を行うプロ講師とそれぞれの役割分担が明確化されている中で、新たな取り組みとして注目をしている。今回は、常勤講師職の採用条件を元に今後の予備校におけるあり方を考えてみたいと思います。
先程、予備校では教務とプロ講師でそれぞれの役割が明確化されていることを述べていきましたが、塾の場合でも役割分担がされており、例えば多くの個別指導は大学生が担当することが多く、集団授業は塾によって異なりますが社員が担当していることを述べていない限りは多くの場合は大学生が担当するケースが多いです(※一般的に上位クラスは社員が担当することも多いです)。このように塾においても、多くの塾は「授業は大学生、運営などのマネジメントを社員」が行うケースが多く、割合は異なるとしても一般的に塾の考え方はこのようになっているケースが多いです。なぜこのように役割分担が明確化されているのかを考えてみると、塾であれば「営業時間」が大きく関係をしており、生徒が塾に来るのは学校が終わって早くても17時頃でどんなに遅くても22時までを営業時間と考えると、どうしても短時間に集中しまうことから、人件費の観点からも、大学生講師になってしまう実情が大きく関係をしている。また、予備校では浪人生の授業があるとしても、浪人生の減少により授業数減少も関係をしていて、仕事量の減少もあり稼ぎにくい状態になっている。また、浪人生が多かった時代はコマ単価の上昇も非常に高かったが、その時の講師が年齢的に引退をしていく中で、コマ単価も高くなく、教務とプロ講師の賃金格差は是正に向かっていることも関係をしていると考えられる。
さてここまでは、塾・予備校側目線でお話をしてきましたが、大切なのは生徒・保護者側(顧客)目線で言えば、どちらの方が求められているかということです。おそらく、理想的なのは社員が教務と授業がともに出来ることであり、校舎の出勤日数も多いので生徒の状況もより細かに把握をすることも可能で、他の講師と連携することも出来るし、生徒側からすれば質問対応もスムーズに出来ることを考えると理想的であることは分かるでしょう。しかし、プロ講師のように入試問題の研究まで多くの時間を割くことは難しいかもしれませんが、このような授業を求めているのは大学別講座をもつような大人数の生徒がいることが前提で、少人数でさまざまな志望校がいるような校舎ではプロ講師の必要性よりも個に対応ができるチカラの方が求められているように思います。このように考えると、例えば予備校でも都心校舎と都心部以外の校舎では形を変えていく必要があり、河合塾でも人気講師や大人数の生徒が集まる都心校舎と都心外校舎ではカタチを変えることが河合塾が生き残っていく上で必要になってくるように思います。
少し話は脱線をしてしまいましたが、ここからは常勤講師職の待遇などを見て、気になったことを紹介していきます。まず1つ目は、業務内容で気になったのは、具体的に授業と教務の仕事割合がどのくらいであるか記載がありませんが、河合塾の高校グリーンコースが1月開講であり講師を公表していることを考えると、現役生の講座を担当する可能性は低いでしょう。そうなると、浪人生のクラスから担当する可能性がありますが4月中旬頃から開講することや授業研修の記載もあることを考えると、授業をいつからどれだけ担当できるのかは不透明であり、採用はしていますが今年度は本格的に導入というよりは実験的なものであり、今までのやり方で運営を中心に行っていくのではないでしょうか。2つ目は待遇として、月給制で270000円からで別途講師手当があり、賞与や休日や諸手当や福利厚生は一般的な河合塾の職員と同じ待遇になっていますが、有期雇用(2029年3月31日まで)であることが職員と異なる点です。ここには、常勤講師職を取り入れてはいきますが、あくまでも実験的にやってみようという要素が強く、何かあったときには従来の状態に戻れるような仕組みとなっているところを見てしまうと、河合塾側の安全志向は強いように思います。このように見ていくと、本当に常勤講師職を集めていきたいのかという姿勢はあまり見えてきません。業界全体の課題として、非正規雇用が中心である塾・予備校講師という職業を変えていくきっかけの1つとなれば、この業界も少し明るい未来になっていくのではないでしょうか。
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