教育格差についてはたびたび議論される話題で、塾業界で働いている人にとっては相容れない考え方とも言える話題です。その理由としては格差を生み出している要因は塾業界にあるという見方が出来るからです。実際に塾業界では、親が自分の子どもに対して「よりよい教育を受けさせたい」や「少しでもよりよい中学・高校・大学に行って選択肢を増やしてほしい」といった気持ちから、格差を生み出し、子どもに投資をすることで成り立っていることは否定することは出来ないでしょう。このように塾業界と教育格差は対立の存在となっていますが、今回はある動画をきっかけに「教育格差」について考えるきっかけがありましたので、ブログを書いてみたいと思います。
今回、教育格差に関して考えるきっかけになったのは、YOUTUBEのPIVOT公式チャンネル「【親の一言と「子どもの大学受験」】教育分野のジェンダーギャップ解消に取り組むYourChoiceProject/地方女性の難関大受験が難しい理由/「理系=医学部」認識【PIVOT TALK】 (youtube.com)」の動画がきっかけでした。この動画では、地方女子が東大をはじめとする都心の最難関大学に進学をしないのかを客観的なデータに基づいて分析をされています。この話を聞くと、当たり前のことを調査しただけではないかと思われてしまうかもしれませんが、感覚的に違いがあることを、実際に調査を実施することで客観的に可視化することが出来たことに大きな成果があると思います。さて、話は少し脱線をしてしまいましたが、この調査で浮き彫りになってきた大きな要因として挙げられている1つには、教員や保護者の大人からの影響力や都心部に行く地方女子が少なくロールモデルがほとんどいないことが要因として述べられています。実際に私の経験でもありますが、地方の校舎で勤務をしていたときに、高校3年生の受験校面談では、女子生徒の親からは「浪人はさせたくないので、現役でそこそこの大学に進学をさせたい」という要望をよく見受けられます。もちろん、浪人を肯定しているわけでもありませんが、本人の意志と家庭の方針がミスマッチをしている場合は、最終的に決める権限があるのは親であることからも、保護者の影響力は大きいことは確かでしょう。また、私の経験だけではなく、動画では筆者独自が調査をした「浪人肯定度」に関して、「地方女子、地方男子、首都圏女子、首都圏男子」で比較をしており、地方女子が浪人肯定度が低いことが示されています。さらに、地方女子は資格取得を重視する割合も高く、そのため理系であれば医学部や薬学部に進学する割合が高い傾向にあり、結婚や出産などのライフイベントに備えて資格を重視する考え方が根底にあり、職業選択のロールモデルが少ないことも原因として考えられています。このように問題を分析してみると、塾業界で働く社員という立場では、家庭の教育方針であるから何もすることが出来ないので、考える意味がないのではと思うかもしれません。しかし、社会全体でこのような考え方を是正することは重要で、このように立証をしていったことには意義があるように私は思います。
さて、ここまで「なぜ地方女子は東大を目指さないのか」を紹介していきましたが、他にもさまざまなデータを用いて、動画や本(なぜ地方女子は東大を目指さないのか (光文社新書 1325) | 江森 百花, 川崎莉音 |本 | 通販 | Amazon)を確認していただきたいのですが、ここからは私の個人的な考えや感じたことを伝えていきたいと思います。唐突ではありますが、みなさんはどうしたら「地方女子が東大を目指すようになるのか」という問いに対して、どうしたら解決すると考えるでしょうか。このことを達成するための1つとして、地方女子が東大などの最難関大学に入れるように地方女子枠を設けたらよいのではと考える方もいるかもしれません。しかし、私は根本的な解決にはなっていないように思います。実際に、大学は単なる通過点であり、地方女子に限らず女性が社会に出たときに活躍ができる体制を整えることも含まれてからです。実際に日本は2024年のジェンダーギャップ指数は146カ国中118位であり、G-7の中でも最下位という実態であり、この問題は「地方女子が東大を目指さない」原因には、社会全体を改善していく必要があります。その結果として、子どもに影響力のある保護者や教師などの考え方が変わることで是正をしていくと思います。そのためには、まずはこの現状を多くの人が知り、社会全体が変わっていくことや今までの固定概念ではなく広い視野で物事を考えるチカラこそが私たちが現在の出来る唯一のことだと私は感じました。
【参考文献】
なぜ地方女子は東大を目指さないのか (光文社新書 1325) | 江森 百花, 川崎莉音 |本 | 通販 | Amazon