上智大学は5月11日に「現在の高校2年生から現在行わているTEAPスコア利用入試で英検CSEスコアを導入」することを発表しました。受験生には浸透がまだ薄い中でTEAP利用型入試にこだわってきた上智大学が大きな変更をしたということを感じました。そもそもTEAPは上智大学と公益財団法人日本英語検定協会が協同開発したアカデミック英語能力判定試験であり、大学で学習・研究する際に必要とされる英語運用力(英語で資料や文献を読む、英語で講義を受ける、英語で意見を述べる、英語で文章を書くなどの4技能)をより正確に測定することを目的としている試験です。上智大学が共同開発したにも関わらず、なぜこのような変更の背景を読み解いていきたいと思います。
上智大学の従来の一般入試を説明していくと、一般入試は大きく分けて3つの方式があり、「TEAPスコア利用方式」・「学部学科試験・共通テスト併用方式」・「共通テスト利用方式」の3種類があります。この中で募集枠が多いメインになる入試は、「TEAPスコア利用方式」・「学部学科試験・共通テスト併用方式」となります。併願することは出来ますがTEAPを受験していない受験生は、「学部学科試験・共通テスト併用方式」で受験することになりますが、学部学科試験では各学部の総合問題を中心に大学入学の適正を測るような試験が多いのが特徴があり、上智大学が第1志望校である場合には、TEAPスコアがないと受験科目という面で受験に対するハードルが高い傾向にありました。このように上智大学の一般入試において、TEAPの結びつきが強い中で、英検CSEスコアを導入する背景や入試の変更点について考察していきたいと思います。
まずは、大学側は英検を導入する意図として、「この制度変更の最大の目的は、受検会場の制約によりTEAPの受験が難しかった地域の受験生にも、本学への出願機会を広げることにあります。TEAPスコア利用方式での受験者の約86%が首都圏在住者である現状を踏まえ、遠方在住の受験生にとって生じていた不利を緩和し、より多様な背景をもつ学生を迎えたいという思いから、この度の制度変更に至りました。」と大学ホームページ上で発表しています。近年、首都圏の私立大学を中心として、合格者の多くが首都圏在住者に一極集中をしていることも課題として挙げられていたり、学力だけではなく多様な人材を集めるために総合型・学校推薦入試を行っています。これらは、大学側もさまざまな価値観や経験をもった生徒が集まることを求めていることも背景にあるでしょう。
一方で、これ以外にも大きな理由があると私は考えています。1つ目は、大学入試の4技能外部利用は英検に一極集中していることです。旺文社の2025年調査では「2025年一般入試で外部利用試験の中で英検を利用したのが92.8%」であり、TEAPはわずか4.6%という結果で、TEAPの受験者数が圧倒的に少ないということが背景にあります。大学側が述べているTEAPの受験会場が少ないこともありますが、受験料が15000円(4技能型)と受験回数が年3回で英検のようにS-CBTがないため受験回数を増やすことも出来ないことや日程の制約が大きいことも理由と言えるでしょう(※英検2級の受験料は9000円、英検準1級の受験料は10400円)。これは因果関係が逆にはなりますが、受験者数が多いことで、学校や塾だけでなく参考書も増えることで、より対策のしやすさが受験につながっていることも考えられます。次に2つ目は、TEAP利用型入試の受験者数を増やすことに苦戦していることです。TEAP利用入試は2025年度と2026年度を比較すると、学部全体の受験者数は5262名から5789名と527名増加をしていますが、他大学を2025年度と2026年度を比較すると、立教大学の個別学力試験(英語)を含まない日程の受験者数が32493名から37674名と5181名増加(共通テストまたは英語4技能試験のいずれか利用できることや併願が出来るの同条件ではありませんが)、早稲田大学の文化構想学部(英語4技能入試)は3225名から3767名と542名増加、早稲田大学の文学部(英語4技能入試)は3263名から4012名と749名増加をしています。このように見ていくと、英語4技能利用入試も私立では主流になる中で、TEAP利用入試の伸び率は低いことも影響をしているでしょう。このような受験者数の背景も大きくあると考えられるでしょう。他にも、上智大学のTEAP利用方式と学部学科試験・共通テスト併用方式の募集人員に対する今年度の倍率を比較すると、9.4倍と13.6倍となっており、TEAP利用方式の受験者数を集めきれていないことも要因として考えられるでしょう。このようなことを受けて、TEAPという試験のハードルにこだわるのではなく、英語ができる受験生を確保したいという上智大学の狙いによる変更とも見えるのではないでしょうか。
最後に英検CSEスコア使用するときの注意点としては、英検準1級・1級のスコアを利用(合否は関係ない)するため、英検2級のスコアは利用できないところです。例えば、英検準1級の英検2級合格CSEスコアは1980点は使用することが出来ますが、英検2級は使用することが出来ません。ここには上智大学がTEAPスコア利用する狙いとして、英検2級の問題作成基準である高校卒業レベルを超えた大学教育で使用することの出来る英語力を求めていることが考えられます。つまり、入試を英検CSEスコアを利用可と変更をしていますが、TEAP本来で測っている学力を担保はしており、今までと同様に高い英語力を求めていることは変わらないと言っていいのではないでしょうか。
【参考文献】
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