akshota0407の日記

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まだ発展途上な分野

今回は日本経済新聞で掲載されている「「東進」のナガセ、30万問から合格ルート  AIで演習」という記事を基に、「過去問研究とAI学習」について考えてみたいと思います。これをお読みになれている方は、大学受験のシステムをご存知の方も多くいるかとは思いますが、大学受験の場合は共通テストを除けば、国立2次試験や私立大学は学部や入試方式によって出題形式がバラバラです。もちろん、基礎学力と言われるような必要とされているものには共通項はありますが、受験直前期に学部・学科の独自傾向の問題を扱うことは個別指導ではない限り、難しい分野であり、この分野はマニュアル化されていない塾・予備校が多く、講師の裁量で決められることが多かったように感じます。そんな中で、東進ハイスクールでは、30万の過去問から生徒別に演習が出来るようにプログラミングされて、2022年現在では744大学2455学部の問題を分類してタグ付けがされているため、不可能を可能にした分野と言えるでしょう。今回は、業界では発展途上な「過去問研究とAI学習」について記事を書いてみようと思います。

まずは、このような分野に業界全体がなぜ投資をしてこなかったのかを考えていきたいと思います。その理由の1つには、入試問題を集めることのコストが大きく、分析をするにあたってコストも膨大になるからだと考えられます。例えば、入試問題を集めるときの一般的な手段としては、「赤本または青本」・旺文社が出版されている「大学入試問題正解」が受験生が使う一般的にものだと思います。一方で、先生向けとしては「Xam(イグザム)」というパソコンソフトもありますが、すべての入試問題が掲載されていません。まずは集める段階でも苦労をしますが、分析にあたる解答や解説を作成するときにもコストはさらにかかります。その結果、発展途上の分野になってしまった1つの要因になっているように思われます。他にも、入試問題を毎年アップデートしないといけないことも費用対効果という観点でもなかなか導入が難しい理由の1つにあるように思われます。

話は脱線になりますが、書店で売られている大学個別試験対策の「過去問」においても、予備校業界は発展途上の分野であると思います。過去問と言えば、ほとんどの大学を網羅している「赤本」が有名ではありますが、他にも駿台文庫が出版している「青本」、角川が2020年と2019年に出版した「黄本」があります。「赤本」は網羅性を重視しており、著者の明記はありませんが、「青本」は、東大・旧帝大早慶を中心に出版されており駿台講師が執筆をしています。一方で、「黄本」は現役の予備校講師が執筆をしたものではありましたが、2021年以降は出版をされていません。「過去問」の難しいところは、購入者がかなり限定された上で、市場を取らなければいけないので、シェアが低いところにどこまで力を入れるかは難しい問題ではありますが、業界全体で「入試問題の研究を過去問という書籍にチカラを入れる」という考え方は薄いことは言えるでしょう。

現在の大学受験予備校では、個に焦点を当てた教育が求められており、駿台河合塾といった大手予備校でも求められており、どちらの予備校でもAI学習が出来る教材はあるが、過去問と連動をしている機能はありません。塾や予備校に通う目的が「第1志望校合格」であることからも、受験の基礎学力を付けるのと同時に、書籍に付加価値を持たせ、効率的に勉強ができる過去問の勉強には需要があるように思います。もちろん先程から説明しているように、莫大な投資も必要になることが予想されるため、すぐには完成することは難しく、現状では東進が優勢であることは間違えありません。個人的には、ライバル会社が新しい取り組みが業界全体でよりよく発展するためには、大切なことなので「過去問研究とAI学習」は今後の進展には注目すべき点になるでしょう。

【参考文献】

「東進」のナガセ、30万問から合格ルート AIで演習  - 日本経済新聞 (nikkei.com)