akshota0407の日記

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総合問題に変更することの私立大学側のリスク

以前のブログで「総合問題対策と志望校決定」という題材で書いてみたが、文部科学省が「高大接続改革」や「教科横断型」を提言している中で、「総合問題」の出題をしている大学もあるが、従来通りの教科に基づいた入学試験を行っている大学が圧倒的に多い。その理由の1つには、大学側の運営上の側面であるが、受験者数減を恐れている可能性が高い。今回は実際の昨年度入試データを基に、受験者数に着目して議論を進めていきたいと考えている。

実際に見ていく前に、いくつか考慮をしておかなければいけないことがある。そもそも、一概に受験者数のみを見てしまうと、子どもの数(もっと言えば、受験する人の数)自体が減っていることや現役志向が強いことを考慮に入れてしまえば、受験者数は減ることが別の影響を受けていることになってしまうので、一概に総合問題が影響をしているとは言えない部分もあるため、同大学や併願先を比較検討することで、見てみることにする。

まずは「早稲田大学」を事例に考えてみることにする。早稲田大学 政治経済学部は、今年度から共通テストと総合問題(一般試験)の出題に変更をされた。一般選抜の受験者数は、2020年度は5584人に対して、2021年度は3495人となり、2089人減少をしており、前年比62%となっている。他にも、スポーツ科学部に関しても、総合問題という扱いではないが、スポーツに関する小論文が新たに追加されて、共通テストと併用入試になったことで、一般選抜の受験者は、2020年度は1374人に対して、2021年度は842人となり、532人減少をしており、前年比61%となっている。政治経済学部では前年比62%、スポーツ科学部では前年比61%になっており、早稲田大学 一般入試および大学入試センター試験(共通テスト)全体が前年比85%であることからも、子どもの数(もっと言えば、受験する人の数)自体が減っていることや現役志向が強いことを考慮に入れたとしても、かなりの減少であり、入試形態の変更が大きく影響したことが言えるだろう。

次に、2021年度から共通テストと総合問題の併用型入試を大きく取り入れた「上智大学」を事例に考えてみることにする。上智大学の2020年度の一般入学試験受験者数は20464人に対して、2021年度は15435人となっており、5029人減少となっており、前年比75%となっている。一方で、2020年度と2021年度で総合問題の転換をしなかった、慶應義塾大学の受験者数は前年比で95%であることからも、総合問題の影響により受験者数の減少に大きく影響をしたと言える。

このように考えていくと、総合問題に変更することで受験者数を減っている傾向は認めざるを得ない状況ではある。受験者数全体が減る中で、私立大学の経営面を考えれば、受験料は大切な収入源である。現在、私立大学では「共通テスト利用型入試」・「4技能試験利用入試」・「得意科目2科目入試」・「併願割引制度」・「複数日程入試」など、さまざまな入試形態を行うことで、受験回数を増やす取り組みが行われている。そんな中で、総合問題は受験者数を集める上では、デメリットに働く可能性を秘めていることが分かっている。今後、私立大学の入試は「どのように変化をしていくのか」を見ていく必要がありそうだ。