akshota0407の日記

自分自身が書きたいことや伝えたいことを書くブログです。

塾業界の自習室における存在意義

8月も残りわずかになり、塾業界で働いている私からしても、短かったようで長かった夏期講習がもうすぐ終わるという感じられるような時期になってきました。塾業界の社員からすれば、講習期間は社員の人員が変わらない中で朝から夜まで校舎が空いていることのストレスがあったり、講習生のフォローや運営をしていかないといけない環境にあるため、講習期間は一般的な言葉で表せば「繁忙期」という位置づけになり、とても忙しい時期でした。他の観点でも言えば、夏期講習は営業面でも重要な位置づけであり、講習生を入塾につなげることはもちろんのことではありますが、通常授業よりも講座数を増やすことや授業時間を長くすることでより収益を上げるための構造となっていることからも、本部からも平均受講講座数の目標値が与えられて、いかに夏期講習を誘導するのかも社員として大切な仕事になってきます。そんな中で、塾業界で働いている人であれば経験はしたことがあるのではないかと思いますが、講習期間中に生徒や保護者からのクレームの1つとして上がるのが「自習室が満席で使えない」というような「自習室」に関するクレームです。塾業界で働いたことがある方はクレームまではいかなくても、自習室が満席になったので、廊下に机を出して自習をしてもらったりとそんな経験は一度はあると思います。今回は、塾業界の「自習室」をテーマにどうあるべきなのかを考えてみたいと思います。

まずは、自習室という存在を塾側の立場で考えると、ほとんどの塾は「出来るだけ作りたくない」というのが本音だと思います。特に、授業を売りにしている塾であれば、そもそも収益が出ない自習室に莫大なお金を注ぎ込みたくはありませんし、通塾目的が自習室利用になってしまえば多くの収益を得られなくなってしまいます。さらには、授業のない日曜日を開室することになれば、それだけの人件費も発生しています。このような観点もありますが、物理的な問題として、在籍人数分の自習用の座席を常に確保することが出来ない現状もあるでしょう。このように考えると、塾側としてはあくまでも「自習室」は、本で言えば付録みたいな存在で、そもそもいつでも全員が使えるということを前提に設計はされていないので、言葉には出していないかもしれませんが、講習期間で満席になることは仕方がないと思っています。ここに、クレームが発生する理由があり、生徒や保護者は「いつでも使える」という認識をもっていることが原因としてあるでしょう。

ここまで考えると、収益にもならないしクレームに発展をする可能性もあるような自習室は不要ではないかと考えられますが、どこの塾にも自習室があります。そこには、一定の需要があるからこそ、残り続けているのでしょう。私も経験としてありますが、入塾相談を受けるときに、「自習室はどこにありますか?」や「何時から何時まで使えますか?」という相談を多く受けます。授業を売りにしている塾であれば、自習室ではなく、私の塾は「授業が売りです」と言って、体験授業を受ければ誰でも入る環境であれば、自習室がなくても入塾はしてくれるのでしょう。しかし、映像授業や顧客のニーズも変わってきたり、少子化の社会変化もあり、いろんな顧客を集めていかないといけない環境になっているからこそ、どっちつかずの結果になってしまったのかもしれません。

自習室に関する双方の考え方がある中で、今までの塾に対する考え方が変え、今年度から自習室を外部に委託することで有料化に踏み切った「ワークショップ 巣鴨教室」があります。この塾のコンセプトは「少人数で各予備校のトップ講師の対面授業が受講すること」が出来ることにありますが、少人数になると、どうしても授業料が上がってしまうという課題があるでしょう。そんな中で、自習室を外部に委託して有料化にすることはマイナスに感じるかもしれませんが、塾側としては経費を削減することにつながり、生徒にとってみれば、1日あたり133円で、6時~23時を365日で利用することが出来ることは大きな利点になっているでしょう。コンセプトの強みを全面で押し出すことで、「少人数でトップ講師の対面授業を受講したい」という生徒が多く来ているのかもしれません。

今回は「塾業界の自習室における存在意義」についてお話をしましたが、業界全体は今後も少子化の影響を受ける中で、「利益をどのように確保していくのか」や「無駄をなくしていくのか」は考えていく必要があるでしょう。その戦略の1つとして、どんな生徒にもマッチするような塾を作っていくことも大切ですが、塾の強みを押し出していくことも重要であることは間違えないでしょう。そのときに、今まで当たり前のように塾に存在していた「自習室」という存在は本当に必要なのかを疑ってもよいのかもしれません。

【参考文献】

ワークショップ [ 巣鴨駅前教室 ]|最強の講師陣が導く難関大学合格のための塾(代表 成川博康) (workshop-prep.com)

小さいことは悪いこと?~餅は餅屋で|成川博康@大学受験専門塾ワークショップ代表 (note.com)